多良間島の御嶽・拝所（御願）について少し解説します。
本編である旅行記の内容とは質を異にするものですが、多良間島を語る上で欠かせない要素があるとの思いから旅行記とは切り離して掲載しました。
ただし、内容は決して専門的ではありません。
資料も二次的なものが多く、私個人の誤解や理解不足があるかも知れない事だけはお断りしておきます。
素人の「修学旅行のまとめ」のようなものだと思って気軽に読んでみてください。

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国指定重要無形民俗文化財の指定を受けている「八月踊り」や古来からの伝統行事である「スツウプナカ」などの祭礼や神行事、祈願の場として御嶽・拝所（御願）が存在します。

そして、多良間島の御嶽・拝所（御願）は二つグループによって成り立っています。

１．祭祀の主会場となり、御嶽に属する組織化された祭祀集団を持つグループ。
多良間神社・塩川御嶽・運城御嶽・泊御嶽・嶺間御嶽・普天間御嶽を総称して「一社五御嶽」と呼びます。
この６つ御嶽は祭祀を執り行う際の組織をもち、「八月踊り」を始めとするさまざまな祭りの参拝先となっています。

このうち、運城御嶽、泊御嶽は「土原春源」の統治政策から建立されたものでした。
宮古島旧記によれば・・・
「幼少のころより心正しく朝夕天を拝んでいた土原春源が、運城と泊の両所に御嶽を建立し神を招こうと三十七日間こもって祈願したところ運城には島守りの神が泊には船守りの神が天降りされた・・・」
とありますが、実のところは島人が「里」ごとにあった聖地（「サトウガン」里御願）に向けていた信仰心を、自らが建立した御嶽に向けさせ集約して宗教面から統治を容易にしようと意図したものです。

また、「八月踊り」の主会場である「土原ウガム゜」、「ピトゥマタウガン」ともに「土原ウガム゜」は彼そのものが祈願の対象であったり、「ピトゥマタウガン」には彼の側室の屋敷跡であるとの伝説が残っていたりと、ここでも「土原春源」の影が濃厚に見られます。

写真掲載の二つの御嶽について記しておきます。
【運城御嶽】
祭神：オトガフセライ（神のフセライの意）。島守りの神。
（このフセライ神も宮古島にわずかに残る原初的な島立て信仰「ウヤガン祭」にむすぴ付きそうなのですが、説明は割愛します）
【泊御嶽】
祭神：出ジミソウ・入リミソウの真主。船守りの神。


２．「里御願」（サトウガン）または古来からの御嶽。
第一のグループとは異なり「土原春源」の統治政策前から存在したであろうと思われる御嶽や「ガー」と呼ばれる自然井戸、特定の祭神があったりなかったりする古来からの拝所(御願)が二番目のグループとなります。
むしろ、このグループの方が由来は古いものと思われています。

【里御願について】
下の写真は、「アマガー」（自然井戸）の近くのごくありきたりの茂みですが木の根元には自然石の祭壇あり香炉が置かれています。